を、すいぶん歩きまわつて心當りの所を見つけ出そうとしましたが、ダメでした。空襲で燒かれて樣子が變つたためよりも、やつぱり最初から記憶に全然殘つていないのです。)Mさんは廣島で死んでしまつた。
 どうすればいいんだ?
 考え迷いました。そうしていながらも黒田組の仕事は、あれこれとグングン進んで行つていて、僕は一日一日と益々深くその世界に卷き込まれて行くのです。苦しくなつて來ました。その末に、あなたの事を思い出したのです。あなたに會つてMさんの事を聞いて見よう。そうすれば、或いは何かの心當りやチョットした手がかりだけでも見つかるかも知れない。それに、あなたには、僕の現在のような氣持や境遇のことも、もしかすると多少はわかつてもらえるかも知れない。
 そうは思つても僕は迷いました。遠慮したのではありません。自分みたいに自分自身をまるで大事にもなんにも思つていない、アクタみたいに、いつなんどきどこかへ吹き飛ばされてしまつて消えてしまつても、すこしも惜しいとは思つていない人間が、今更、何かを期待し、求めるために人の所へ行くなどコッケイなような氣がしたのです。しかし、あの女に、もう一度逢いたいと言う
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