こう!」
 と言つて立ち上りました。それから、Mさんは急に火がついたように、あわて出されたのです。その姿は實に眞劍で、そして眞劍であればあるほどコッケイに見えました。その晩、まるで驅けるようにして、あちこちとMさんは僕を引つぱり※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]されたのですが、しまいに、
「ダメだ! もつと早く、なぜ言わないんだ、バカ! しかし、そうだ、君の出征は明後日だから、まだ明日一日ある。よし! 明日、君んとこへ行くから待つていろ!」と言われて、別れて、そして、その次ぎの日の午後、又Mさんに連れだされ、方々歩きまわり、その途中であなたの所に寄り、その後、夜おそくなつて、變な所で僕はその女に逢わされたのです。

        29[#「29」は縦中横]

 その晩の自分の氣持がどんなものであつたか、今思い出そうとしても、僕自身にもハッキリしません。
 第一、Mさんを僕がどんなに尊敬していたにしろ、そんな變テコな目的(?)を持つているMさんの後からノコノコついて歩いた自分の量見がわからないのです。Mさんの調子はホントに眞劍でした。あなたも多分ごぞんじのように、あの人は、ホン
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