表現できないものはあるまいと思われる造作の顏いつぱいに、ほとんど少年のような純粹なアケッパナシの悲しみを浮べながら、頬は涙でぬれていました。それを見ていて、僕も泣きたくなりました。
Mさんは直接には、僕の童貞のことを言つているのですけれど、しかし、ホントはMさんはそんな事を言つているのでは無い。もつと深い、もつと、どうにも出來ない、われわれ全體の運命のようなものの事を言つている。愚かしい殺し合いのために、青春が浪費されている。………それなんです。それが、くやしくつて、腹だたしくつて[#「腹だたしくつて」は底本では「腹たたしくつて」]、しかたが無いのです。その氣持の中にはMさん自身の青春――それは過ぎ去つたものでありながら、しかしまだMさんの中に生きているもの。なぜなら、Mさんは年こそ中年ですが、すべての點で僕らと同じ青春を持つていた人です。――その青春を惜しむ心だつたと思います。それはMさんにとつて僕の事であると同時にMさん自身の事でした。自分も人も引つくるめて、くやしくてならないのです。しかも、今こんなふうになつて來ているのに、いくらくやしがつて見ても腹を立てて見ても、一切が無駄だ
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