の表情はまるで笑つていない、いつものポカンとした冷靜な顏である。しばらく高笑いをひびかしたあとで、その笑い聲とは調子の全く續かない寢ぼけ聲で言つた。「………全くだ。どうしてそんな事をするんでしようね?」
「…………貴島君は、いつまであんな生活を續けている氣なんだろう? 今後どうする氣なんだろうかね?」
「さあ、わかりませんねえ。早くそんな世界からぬけ出せと言つてもぬけ出せないそうです。そいじや、逃げ出してどつか行つちまつたらどうだと僕はすすめた事があるんですがね、どうする氣だかサッパリわからない。やつぱりユウレイだ。フン!」
話しているうちに驛の裏のマーケットの灯の中に出ていた。星もない夜空の下に、そこだけガヤガヤと狂氣じみた人々の聲と、食物と酒の匂い。盛り場の裏や驛の近くにどこにでも在る、賑やかであればあるほどわびしい風景。
久保は八百屋や佃煮屋で二三の物を買い、最後に肉屋に寄つてからマーケットの角で待つていた私の所へ戻つて來た。その時私のそばをフラリとすり拔けて行つた女がある。それが久保に向つて
「あらあ、久保さん!」
久保はユックリとその女を見てヤアと言つた。
「どうした
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