と、それは又それで絶對的な意志を持つもので、もうそうなれば、たとえその徒黨の親分や統率者が自分個人の意志からそうさせまいといくら思つても、そうは出來ない事がある。その事を私は知つている。それだけに、更に惡い事が起きる事さえも想像されない事はない。
佐々兼武でも來てくれれば何かの處置の仕方が考えられない事もないと思つて心待ちにしたが、意地の惡いもので待つている時には現れない。一日たち二日たつうちに遂に私はジッとておれなくなつた。
まず貴島に會つて見る事だと考えたが、さて横濱の何處に居るのか、佐々からは聞いていない。貴島の手紙には所書きは書いてない。すると、さしあたりルリの所にでも行つて見る以外に無い。ルリの居るNスタジオの所在は佐々に聞いて控えてあつた。
そこへ行つた。K町Nという男の家はすぐにわかつた。うす汚れた、目立たない建物で、案内を乞うと、唯一人で暮してると見えて當のNがすぐに出て來た。佐々が言つた通りの、弱々しい人の良さそうな男で、ショボショボと捨犬のような眼附きをしている。私が姓名を名のつてルリの事を尋ねると、私の事は聞いていたのか、それともこの男は人を疑うという事をま
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