結局私の事かもわからないけど、でも私だけの事じやない。どうすればいいんでしよう? 先生教えて下さい。いやだわ、いやなんです私は。こんなわけのわからない事でゴタゴタしているのは、私はイヤ!」
それから噴き出すような勢いでルリは喋りはじめた。何を言つているかわからない。少くとも初めの十分ばかり彼女の言葉は支離滅裂でまつたく掴えどころが無かつた。或事を言いはじめて、その一言の中で忽ち別の事を言い出すかと思うと、次に最初の事とも二番目の事とも違う事に飛んでいる。それをこちらが呑みこむ暇もない中に、他の事が入りまじつて來る。しかもそれがたいがい普通の言い方と逆になつていて、いきなり間投詞が飛んで來て、その後に叙述の文句が來てそれが又四方八方へ飛び散り、ぶつかり合う。言葉と言葉が光線の亂反射のように飛び交うのだ。
このようなものの言い方も世の中に在るのである。然しそんな言葉を紙の上に書き寫すことは、むずかしい。私は此處で彼女の言葉を書き寫そうとはしまい。
ただ次第にわかつて來た事は、彼女の話しているのが貴島勉の事であるという事であつた。
そんな事ではあるまいかと、ルリが入つて來た瞬間から私
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