すか………」とおだやかな調子で眼を伏せてしばらく何か考えていたが、今度はジロリと見上げて「まさか、お宅にいるんじやあないでしようね?」
「………どうしてそんな事を言うの?」
 不快をかくさない私の調子に、今度は詑びるように
「そんな氣で言つたんじやありません。大至急にあの男に會わなきやならないので、つまり、急いでいるもんですから、ついどうも……」
 佐々の話が事實だとすると、この連中は貴島に復讐するために、そのありかを追求している。うつかりした事は喋れない。………
 そこへ家人がやつて來て「ちよつと」というので居間の方へ立つて見ると「先程から、すぐそこの角に變な人が二人立つています。今來ているお客さんと一緒に來た人達のようですけど、とても人相の惡い氣味の惡いような――」と低い聲で言うので、私は下へ降りて木戸口を出てそちらを見た。私の家は袋小路の突當りにあり、その袋小路を出て二十歩位の所が小さい四つ角になつている。その四つ角の兩側に洋服を着た男が一人ずつ立つていた。二人とも若い男で、一方は普通の顏をしているが、もう一人の男は顏中むざんな切り傷だらけで、その爲に片眼がつぶれているようだ。物
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