は外見だけで、こういう事になつて來るとわれわれの仕事ほど頼りにならない、おかしな仕事はないんだ。われながらどうしてこれで食つて行けているものだかわからないような始末でね」
「そうかなあ。そんな事はないでしよう?」
「そうなんですよ。然しまあ、暮しの事はいまどき誰にしろ苦しいんだから、それは言わないとしてもだ、仕事の内容を考えると、當分もう駄目だな。確かに日本は亡びた。もうどうしようもない。少くともこれから先五十年や百年はどうにも處置ない。そういう氣がする。日本人を相手にして日本人の事を書いていると、どうしてもそういう氣がしますよ」
「確かにそりやあ、そう言われればそう言う氣もしますね。新聞や雜誌で道義地に落ちたりなどと言つているが、道義なんて私共には何の事だかわからないが、近頃の日本人、ダラシが無くなつた事は事實です。まあ乞食だな。とにかく、一切合切は腹がくちくなつた後の話と言つた光景で、法も道も何ちゆう事はないようですからね、ハハ!」
相手の氣持をはかりかねて、始めの間私は落着けなかつた。然し彼の調子には別に含むような所はなく、今の時代の有樣についての感想なども、彼は彼なりに相當深
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