言うふうに書いてください。そう言いました。そんだけです」
「いつだつたかも、貴島君はそんな事を言つていたが、Mの知人のリストなどをどうしようというんだろう?」
「そんなことは僕にも判りません。彼奴はひどい色魔ですから、そんなものをたよりにして若い映畫女優などに當つて歩きたいと言つたような事かもわかりません。しかしそれにしては、あんまり眞劍すぎますしね、今さらそんな事をしなくても、彼奴を追つかけまわしている女は掃いて捨てるほど居るんです。とにかく、彼奴のする事はわかりませんよ。唯泣くように頼むもんですからね。書いて下さらないでしようか? 實は今日は僕急ぐんです」
怒つたように言つて後は語らない。
とりつく島がないし、それをことわる理由もないので、私は古い手帳や住所録の類を取り出してリストを作りはじめた。亡友Mは映畫と演劇の兩方に永らく働いていた男だし、ひどい遊び好きの上に世の中のあらゆる事柄や人間に對してコッケイに思われる位に強い興味を持つていた男なので、友人知己の數は非常に多かつた。しかし彼と私の共通の知人、特に女性となると、ほとんどが演劇映畫關係に限られ、中に僅かに普通の知友關係
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