しません。
氣が附くと、ルリさんの身體が、僕に抱えられたままで不意にグタッとなりました。
「いけない!」と僕は思いました。
急に頭がハッキリして、ルリさんの身體を離しました。ルリさんはすると、グルリと此方を向いて、僕を見つめました。睨んでいるような大きな眼でした。暗い中でそれがハッキリ見えました。からだをガタガタふるわしているようです。僕は恥かしくなりました。自分が小さく小さくなつて行くような氣がしました。そのへんに穴でもあつたら飛びこんでしまいたくなりました。
「すみません!」
僕は口の中で言つたのです。すると、ルリさんが僕を睨みつけながら、喰いしばつた齒の間から、
「き、き、き!」と言いました。貴島と僕の名を言うつもりなのか、昂奮し怒つたあまりの齒がみの音なのか、わかりませんでした。僕は彼女の眼にいすくめられて頭を垂れました。暫く時間がたちました。
「なぜ、なぜ、こんな事を――貴島さん! 貴島さん!」
そう言いました。怒りに燃えた、刺すような聲です。そう言いながら、彼女は、自分の胸のVの所に右手をかけると、ベリリと言わせてワンピースの布を下へ向つて引き裂きました。ベリベリと
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