ッとしました。
 そのあと、なにごとが起きたのか、僕はほとんど憶えていないのです。憶えているのは、僕が無意識にルリさんの身體をうしろから片手で抱えこむようにしたことです。それから、自分の顏をルリさんの首筋のうしろに持つて行つたことです。ワンピースの襟を引きさげるような事もしたようにおぼえています。すこしはだかつたルリさんの背中に顏が觸れました。その背中が、思いがけなくヒヤリと冷たかつた。それだけです。僕はそれだけをするにも、決して亂暴な荒々しい事をしたおばえはありません。スルスルスルと、ほとんど力をこめないで、してしまつたのです。ルリさんは、はじめ、「あつ!」と口の中で叫んだようでしたが、あとは石のように默つてしまつて、僕のするままに委せていました。むしろ、なんだかルリさんの方でそうされるのを迎えているような調子がありました。だつて、僕はそうしながらも、いや今になつて思い出して見ても、自分が進んでそんな事をしたと言うよりも、ルリさんからそうさせられたような感じでした。自分を辯解するために嘘を言つているのでは無いのです。嘘ならもつと僕は上手につきます。嘘をつく氣なら、初めからこんな事は話
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