るのだろうかとも思いました。とにかく圖星を指されて僕が眼のやり場に困つていると、立川さんは益々よろこんでしまつて、僕に茶わんをつきつけてブランデイをついでくれるんです。
「いいなあ! 乾杯! 飮みなさいよ。Mさんと言う人は、そういう人なのよ! それがジョウダン半分じや無かつたんだから! 眞劍にそんな事が出來たんだから! いいじやないのう! あんたも良いボーイだ! ビアン! 好きんなつちやつた! 良いギャルソンだあ! よしよし、そんな事なら、あたいも加勢をしてその人を搜してあげる! 何が何でも搜しなさい! ブラボオ! んだけどチョット燒けるね! チッ! あたしがその人だつたら、よかつたなあ。ウーン! どう、あんた? あたしじや、まずい? あたしだつたとしたらさ? だつて、どうせ顏はおぼえていないんでしよう? 同じ事じやないの! どう、私じや、まずいの? こんでも、ツラはこんなだけど、まだまだ捨てたもんじやなくつてよ! 見せてやろか? ホラ……」
 スッカリ醉いが出て來たセイもあるでしようが、フラッと立ちあがると着ている樂屋着とでも言いますか、タオル地のガウンみたいなものの前をスパッと開いて、――その下には、シュミーズとズロースだけしか着けていないんです――腰をゆすつてフラ・ダンスみたいな事をはじめたのには弱りました。
「ね! こら、ギャルソン! 見なさい、こつちを! どう、まだチョットいけるでしよ、あたしの肌!」
 もうサンザンで、僕は拷問にかけられているようなものでした。チラッと見た彼女の胸や脚が、なるほど意外な位に白く脂が乘つてキレイだつたのです。……しかし、そんなふうな姿をしながらも、立川さんには、ワイセツなものやイヤラシイ感じは全くありませんでした。ただ美しく、そして、ほんとに幸福そうで、彼女の感じている感激と言うか――嬉しさが、ただヒシヒシと僕に迫つて來たのです。あのインウツな、まるで地の底みたいな穴倉の中なんです。花が開いて搖れてるみたいなんです。花は歪んで、しぼんで、くずれかかつた花です。落ちぶれ切つた中年の女優。……女優と言うのもはばかられるような醜い人の中に、どう言うわけで、こんなに美しいものが殘つているのだろう?……もしかすると、この人は非常にすぐれた人間かも知れない。……そんなふうに僕は思いました。ですから、僕は立川さんから禁じられたのにもかかわ
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