々に言わせると、ゴロツキは反動だ。だから叩き伏せてしまわなくちやいけないと言うんですがね。……俺はそんな事は知らないんだ。反動であつてもなくつても、どうでもいいんだ。俺は貴島が好きだ。あいつは馬鹿だけど、良い奴なんですよ。俺は、あいつがおかしな目に逢わされるのを默つて見ちやあおれないんです。だから俺あ、ゴロツキは嫌いなんですよ」
24[#「24」は縦中横]
「國友大助というのが、僕のところへ來てね――いや、國友は昔から知つているのだ。それが貴島のありかをしつこく私に尋ねた。然し私も貴島君が横濱に居るだけは知つているが、横濱のどこだかハッキリと知らないものだから、國友はそのままで歸つたがね」
「そうですか……」と久保は私の言葉を聞き流し、しばらく默つていてから、又同じような事を言い出した。「佐々は自分の共産主義でもつて、つまり主義から、ゴロツキを憎んでいますけれど、俺は違うんです。俺は貴島が好きだからゴロツキが嫌いだ。そうですか、國友があなたの所へ行つたんですか? 僕は貴島の親分の黒田には一度會つたことがありますが、國友には會つたことはありません。黒田という奴はいやな奴だ。國友という奴も似たようなもんでしよう。嫌いだな」
「いずれにしろ、このまま捨てておけば、まずいことがおきそうな氣がする。國友の子分達が血まなこになつて青島を追いかけていることは事實らしいからね。いや、國友には私からそんな事のおきないように十分に頼んでおいたが、今となつては國友の力でも抑えきれないらしい」
「そうですか……」
「また貴島君も、よほどムチャな事をしたらしいじやないか?」
「そうかも知れませんね」
「なぜそんな事をするんだろう?……それは、いつか貴島君に會つて話も聞いたし、手紙も貰つて、あの男の氣持が多少わからないことはない。死んだ方がいいとホントに思つている人間にとつて何をしようと同じことかもわからない。だけど……だから又、そんな事をしていて、何の役に立つんだ? とも言えるわけだ」
「全くだ。それは全くだ。全くだな」久保は珍しく三度同じ言葉を繰り返して、私に合槌を打つた。そして不意に、アッハッハハハと笑い出した。私はビックリして彼の顏を見直した。この男から私がはじめて聞く哄笑である。しかもそれは何かが破れたような全く氣の拔けた高笑いであつた。聲だけが笑つているだけで顏
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