ら顏見知りでね、ルリ君を一二度此處へ招待して御馳走したことがあつたりするもんで、思い出して、相談するために訪ねて來たんですね。いやあ、實は、あの身體にや、わしあ惚れ込んでいるんでね、それに商賣にもなるし、わしにして見れば小鳥が飛び込んで來たようなもんで、願つたりかなつたりだからね、ヘヘヘ! 下にも置かないようにして歡待していますよ。當人も喜こんでいるようだ。と言うのは、男から觸られさえしなければ、裸かになつて舞臺に立つて人に見られたり、それから寫眞を撮られたり、するのは、嫌いでは無いらしいんだ。それが、つまりコグラカッちまつた人間の特色でねえ、今言つた閉塞症みたいになるかと思うと、今度は出しぬけに、露出症にもなるんです。そこいら邊が、この道の面白いところだね。ヘヘ! いや、その、どつかの男から何かされたと言うのが、どんな事されたか、ルリ君言わんのです。いずれ、大した事じや無いと思うけど、しかし、もしかすると、この、なんだ。――もしそうだとすると今言う通り、あの肌はどうなる? ありや、オボコ娘の肌だ。わしの眼にや、そうとしきや寫らん。だから、わしの眼は節穴と言うことになるわけだ。しかたが無え。なんしろ世界は廣い。千人に一人、萬人に一人と言う肌だ、女になつても處女と同じだつていう事も、あるかも知れん。なんしろ、ルリ君がその男を憎んでいるのが一通りや二通りでは無いからね。よつぽどひどい目に逢わされたんだと思わなきやならない。やつぱし、ヘヘ、花は散つたですかね。しよう無え。ヘヘ、――
――と言うんです。どうです? それで僕が、ルリの寫眞を撮る所を見せてくれと言いますと、イヤだと言います。それで僕はちよつとシブイ事を並べました。馴れているからワケありません。スッパ拔くとか何とか言つておどかしたんだろう、ですつて? なに、おどかすつて程のことはしません。アッサリしたもんです。そいで、奴さんシブシブ承知して、今日は駄目だから明日來いと言うんです。そいで、その次ぎの日に行つて、その覗き穴から見せてもらつたわけです。
「スタジオの中は天井一杯のガラス板からの光線で明るくなつています。こちらの室は暗い。ルリとNの間には、大體時間の打合せがしてあるらしく、Nがカメラの準備をして、こつちの穴からファインダアを睨んでいるんです。僕は、そのカメラ穴の僅かな隙間から覗くんだ。僕が覗いていること
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