義者たちも、似たようなことをチョイチョイやってきました。このようなことは、私ども共産主義者でない者の目には、ばあいによって下劣なことに見えますが、共産主義者にとっては当然なことなのでしょう。だから、これからも戦術的必要が起きればチョイチョイやらかすでしょう。
つまり、今後そうすることがソビエット圏諸国の利益になると見たときには、共産主義者たちは、戦争反対や再軍備反対を言わなくなり、積極的に再軍備運動に乗りだすかもしれない。そうなる可能性がひじょうに強い。
もしそうなったときに、あなたはどうなさるのでしょうか? いぜんとして反戦論者・再軍備反対論者としてとどまるのですか? それとも、あなたもともに百八十度転換して主戦論者・再軍備賛成者となられるのでしょうか? そして、あなたは前記のとおり、マルクシストか少なくともマルクシズムの部分的把持者であるらしいことを私は忘れないで、この質問をしているのであります。
ごらんのとおり、「もし」「もし」を重ねたうえで私は質問をしています。これはすこしコッケイに見えるにちがいありません。しかし、私にこんな質問を持ちだす理由はあるのです。それはこうです。もしそうなったときに、あなたがいぜんとして反戦論者としてとどまれるばあいは問題はありませんが、もし百八十度転換をなさったばあいには、それまであなたの反戦論に影響されたり指導されたりして、あなたの後から歩いていった大衆はどうなるだろうかということです。
中であなたと同じように転換できる人たちはそれでよいでしょう。それのできない人たちは、ずいぶんつらい思いをしなければならないでしょう。そういう人たちは、私の同胞でありますから、それを見ている私もつらいだろうと思います。人も自分もつらい思いはなるべくしたくない。それに、単につらいだけでなく、そのことによって日本はかなり混乱するでしょう。そういうことは避けられるならば、避けた方がよいと私は考えます。そのため、いまのうちに、あなたの反戦論が絶対的反戦論か条件つきの反戦論かを知っておきたいし、あなたとしてもそれをハッキリ表明してくださる責任みたいなものがなくはなかろうとも思いますが、いかがでしょうか?
いうまでもなく1に書いたことや2に書いたこととつながった形で、私はこれらのことを知りたいと思います。
じつはいまの日本には、あなたとよく似た
前へ
次へ
全19ページ中18ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング