仙太と長五返事をせぬ)
[#ここで字下げ終わり]
子分二 おい、何だといっているんだ? (二人返事をせぬ)……この辺に見かけねえ面だが、今日|出張《でば》りの外手《ほかで》の者じゃ無さそうだ。何だ?
子分三 旅人らしいや。なあおい?
仙太 へい。今日のところ、お見こぼしなすって。
半助 ウロウロしていねえで怪我のねえうちに行きな。
長五 へへへ。
半助 それとも、まさか上林の弥造どんち[#「ち」に傍点]のかかりうど衆じゃあるめえ?
仙太 へえ? 上林の弥造?
半助 今日は弥造どんが捕親《とりおや》だ。そいでお前さん方も助《す》けに出たというのででも……?
仙太 え! そいじゃ、お前さんは?
子分二 手前達、モグリだな。北条の喜平身内、上林の弥造貸元の飲分けの弟分で佐貫の半助親方を知らねえような奴あ、この辺じゃモグリだぞ。
長五 さてはお前が半助か。どうりで、ニョロニョロした面あしていやがる。ご冗談、モグリはそっちだろう、アハハハ。(この罵言に四人呆れかえり、次に子分達怒声を発して長五に襲いかかろうとする)
仙太 おう、待ちな! (とピタリと縁台の端に片手をかけて小腰をかがめ)ごめんねえ
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