道を変えたかな。
半助 じゃあるめえよ、俺達の方が先手《せんて》になったのだ。どうせこの宿に入って来るのだ。まあいいや。
子分一 早く出っくわしてえものだ。
半助 それがいけねえ。今日の出場《でば》はただの出入りじゃねえ。元来なれば利根を渡って縄張り違えなこの辺の百姓一揆なんどに引張出されるのは少し筋の違った話だが、水戸の天狗があばれ出すのなんのと噂のあるご時世だ、八州様お声がかりとあって、代官お手代役浜野様のいいつけで弥造の方から話がありゃ、まさかに懐手して佐貫の方から眺めてもおれねえ。これも渡世のわずらいだ。その辺に網を張っていて一揆の奴等がやって来たら、たかが百姓、チョイチョイと叩きなぐつて足腰を折っぺしょってもと来た方へポイ返してやるまでよ。その積りでいろ。
子分二 へい、合点だ。行きやしょう。ホー、えらい騒ぎだ。(四人本舞台へ。子分二が道の三方を見込んだ末)この辺で?
半助 よかろう(四人が立ちはだかる。それをジロジロ見ている長五と仙太。四人の方でも気づいて睨んでいる。半助が子分一に無言で二人に顎をしゃくる)
子分一 (二人に)おい、お前達あ何だ?
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