前に村の衆と相談しねえじゃなるめえから、すぐに皆の家から男ば一人づつ、そうさ、鎮守さんに寄合っていて貰いてえ。ほかにも話してえこともある。
乙 んじゃ、この足でわし等|布《ふ》れ歩くべえ。頼んだよ、仙太さ!
仙太 アハハ、ああに、俺の見当じゃ、ここん泥掻きがすまねえうちに、ことあ一人手に済んでるだろうて。自由党もいつまで普門院におれる訳でもあんめえ。貧乏な人民のためだなんど、いうことだけは結構だが、またぞろダシに使う了見だ。わかってら、あにが出来るもんだ。佐平どんも五郎さもよく聞きな。法律がどうのこうの、政府がどうのこうの、早い話が国税や県税や村税から、年貢米一切合財、こうやって現にそいつで四苦八苦している俺達五反百姓が自分のことを考えてる程シンミになって俺達のことを心配してくれる者が、ほかにある筈がねえて。よいか、誰にしたって、わが身程可愛ものはねえのだ!
甲 そらそうじゃ! 全く、そらそうじゃ! 現に村方のオヤさまや役場の人やなんどが、お前等のためだお前等のためだというては耕地整理だの農事改良だのに私等を引廻しなさるが、そいで作物がよく出来たからというて私等の暮しが楽になったためし
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