年になっている孤児の滝三である。黙って右手奥遠くの寺の方を伸び上って見ている。……間)
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滝三 ……何だろうか? また、普門院で寄り合いでもあっかね? (水田の中で、フムとそれに応える声がする。滝三あと暫く鐘を聞いていてから、再びしゃがみ込んで、泥掻きをはじめる。水の音。鐘の音)
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(佩剣を鷲掴みにして揚幕から飛出してくる巡査、七三でとまって寺の方を伸び上って見た後、再び駆け出して本舞台へ。道の分れたところまで来て、一旦右の方へ五六歩駆け込んでから思い返して引返して今度は左手の道へ駆け出そうとして躊躇し、曲り角に立ったまま、どっちへ行ったものかと考え、ウム! と唸っている。鐘の音が止む。そこへ右手の道からこれも小走りに出て来る角袖の刑事。薬箱こそ負うてはいないけれども、富山あたりの行商人のなりをして、脚絆草鞋がけ)
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刑事 おお君は――。
巡査 あ、あなたは本署の、たしか泉さん。――それじゃ――?
刑事 昨日から、此方だ。私は勿論してあるが、君の方からも急報は出してあるだろうね、県へは?
巡査 いや、それがその、村内
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