太郎さん!
仙太 じゃ、あんた方どうあっても行くのか?
甚伍 妙、それでは、身体を大事にしろ。ここにこれだけある。(懐中に持っていた金をスッかり出して娘に渡す)どうしても困ったら、筑波門前町、町の口利きで、たしか女郎屋もやっている亀八という男をたよって行け。お前は生きておれ。まさかとなれば女郎にでも何にでもなって生きておれ。
お妙 お父さんは?
甚伍 水戸へ行く。生きて会えると思うな。
加多 それでは、甚伍左?
甚伍 行きやしょう、一緒に。
仙太 すまねえが、皆さんの有金ソックリ出していただきてえ。(自分のをまず一番に出して次々に皆の出す金を集めて、お妙に)これは私達にゃもう要らねえ物だ。お妙さん、子供達を育ててやって下せえ。私あ、あんたのことを女房だと思って死にます。
お妙 あい。
加多 よし! それで、よし! さ、打出よう。宍戸を抜けるまで、これだけ七人、必ず別れ別れになってはいかんぞ、よいかっ! (奥の間が燃えはじめたらしい。パチパチバリバリッと音がして、黒煙と、焔の反映で、ここまで赤い)仙太郎、お前が先に立て! 拙者がしんがり[#「しんがり」に傍点]をつとめる。離れるな、斬らな
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