っている、井上とも今井にも会って聞いた。内輪喧嘩がどうしたと? 内輪喧嘩のない仕事があるか! 馬鹿、さあ来い! キリキリしろ! (いきなり仙太郎の襟がみを掴んでいる。放っておけばそのまま表に引きずり出して行きそうである)幕軍がツイそこまで押して来た!
仙太 (襟を振りもぎって)何をう、しやがるんだ!
加多 命が急に惜しくなったのか?
仙太 もうその手は食わねえよ、加多さん。第一、行かねえとはいっていねえ。命が惜しくなったかといって怒らせさえすりゃいうなりになると思っているのか? おっしゃる通り命が惜しくなったと言やあどうする気だ? よし、まず、これを見ろい! (と懐中から位牌を出して土間にガンとおく)
加多 何だ、これは?
仙太 読んで見な。百姓仙右衛門。……俺の実の兄きだ。……俺が手にかけた。……抜刀隊で働き出した去年の暮、それと知らずに俺がやった。親とも思い、おふくろと思ってたずね捜していた、かけがえのねえ兄きだ。……加多さん、俺あこれだけのことをしているんだ。命が惜しくなったのかといわれても、もうツンとも応えはしねえのよ。通り越しているのだ。
加多 フーム。(位牌を睨んでいる)

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