をフッツリ止める)……天下を俺一人で背負っているといった顔だ。ふん、あたしあキツイきらいさ。……おやおや糸も切れたそうな。(三味線を放り出す)滝ちゃん、泣くんじゃないよ。その小父さんは気がふれているんだから。(滝三の傍に行って顔を覗き込んだりして、あやす)……お士なんていうものの気は知れない。……と言いたいが、それは昔のこと、あの手合いにゃ自分自分の功名や手柄だけしかありはしない。そうじゃないか、仙さん。……あたしも江戸にいる間は、訳もわからないくせにいい気になって、勤王芸者だなんていわれちゃ江戸っ子から憎がられて得意になったもんだ。フン、芸者だって? そうかと思うと講武所芸者がいるわな。みんな身過ぎ世過ぎの方便でなきゃあ見え[#「え」に傍点]さ。一皮ぬげばみんなオレガだ。中でも士がオレガの骨頂。だからすぐに内輪喧嘩。他人のエサを横取りしたいのだ。お前さんは、吉村さんをなに[#「なに」に傍点]し、この家の親父さんをやったけれど、それだとてやっぱり……。
仙太 お蔦、それをまた……。(続けて言おうとするが止してしまって、ゴロリと仰向けて寝転んでしまう)
[#ここから3字下げ]
(間)
[
前へ
次へ
全260ページ中191ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング