気は進んじゃいなかったもの……。
仙太 いうか!
お蔦 ……いうなといえばいやあしない。したが話がさ、あたしが、何故にこんなことをいうのか、お前さん百も承知だものを。ちっとは察しておくれよ。
仙太 (矢張仰向いたままで)お前も度胸がよくなった。
お蔦 あいさ、もとはこんな女じゃなかった。……御朱印外も常陸の方の生まれは生まれだけど、小さい時からの深川育ち、もともとこんなにシダラがなくはない。意気も張りも無くなったのは何のためだ? ……去年の暮の、お前さんが百姓になるんだと云って江戸を打立ったときにだって、百姓暮しで結構だと言ってさ、少しばかりあった稼業のかかりの肩を抜いてまで、一緒に連れて行って貰うのを楽しみに待っていたのを振切って、お前は一人で行ってしまった。……ヒョックリ戻っておくれだと思えば、今度は斬ったの斬られたのの沙汰ばかり……。
(短い間)
仙太 ……それかも知れねえ。
お蔦 え? なにが?
仙太 デク人形がだ。……親方は何とか言ったっけ?
お蔦 しっかりしておくれよ。……いまだって私あ、いまだって私あ……。
仙太 ……お前にゃ済まねえ。
お蔦 すぐに、済まないとお言い
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