仙太 オウッ! (と叫んで本当に斬る気はあまりなく、ザッと甚伍左目がけて片手なぎに斬りつけた刀が甚伍左の腰をないだついでに柱にガッと音を立てたのと、兵藤がその隙に座敷の燭台を刀でパッパッとなぎ倒して四辺を真暗にしたのと殆ど同時。何もかも見えなくなった中を甚伍左と兵藤がタタタと、くぐり戸の方へ逃げ走る。足音)
井上 逃げるなっ!(それを迫って走りながら)仙太郎っ! 追うんだっ!
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(足音が入り乱れて、塀外へ。走って遠くへさる。舞台は真暗でシーンとなってしまう。
永い間。
やがてカチッカチッと小さな音がして、火の光が見える――お蔦が火打石でホクチに火を移しているのである。その、かすかな光の中に、座敷の真中に呆然と棒立ちになっている仙太郎の姿が見える。抜身は右手の柱に斬りつけて喰込んだままになっているので素手だ。――間)
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お蔦 ……せ、仙さん! こ、こわかった! 何てまあ……。(立って座敷に上り、燭台を捜す)お前さん、追っかけて行かなくともいいのかえ? ……(いいながらやっと燭をともして右手へ行き、吉村が斬られて落ちた辺をすかして見る)あたしゃ
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