、一年ばかり前からのもので、
女が小料理屋に出ていた頃に、何かの会のくずれでその店にお前が寄って
最初は女の方から持ちかけた関係だが
今では女は飽きて冷たくなったのを
お前の方で泣くように頼んで金をドッサリくれるので
女はシブシブ相手になっているだけ
そんな事が、すぐにわかって来た。
女の亭主が刑務所に入ったのが、いつ頃かわからないが
その留守で女一人の暮しが立たないから男を作ったというのでもない
他にも二三人きまった顔ぶれの男が通って来るようで
亭主というのも、実はヒモで
すべてを承知の仲かもしれぬ
ただ動物のように淫とうな女らしい
そのくせ、足の裏やエリあしなどにアカを溜めても気にもとめない無神経さで
男の下で、白いからだをムチのようにそらせながらも
実はなんの喜こびも感じていない事は
目をつぶってダラリとした口のはたを見れば、私には、わかる
不感症だ。まるで不感の淫乱女。
ただ腰だけは、よく動く、波のうねりだ。
私にわかるのと同じように男にも、女が喜こびを感じていない事がわかる
わかればわかるほど、拷問のような波のうねりに乗せられて
お前はそそり立てられ、追いかけて行き
目を血走
前へ 次へ
全91ページ中72ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング