ネ?
春子 まあ、ひどい!
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「ジャーンと再び銅羅の音が鳴りひびく。」
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ボーイ (小走りに靴音をひびかして寄って来て)ええ、黒田様――でございましたね? 船室はスッカリ片づけをすませましたから、どうぞ。お紅茶は食堂にいたしましょうか、それとも船室の方へお持ちいたしましょうか?
勝介 やあ、ありがとう。そうさね、部屋の方へ貰おうか。
ボーイ 承知いたしました。では――(去る)
春子 あら、ハトバの人たちが、あんなに小さくなった。もう敦子さんも見えないわ。これでずいぶん早く、もう、走ってるのね?
勝介 部屋へ行こうかね。
船客女三 (フランス語)Adieu Japon !
船客男四 (フランス語)〔Laurence, tu pre' fe`res le chocolat, n'est ce pas ? Allons au salon.〕
春子 オールヴォア、横浜! アツコさま!
勝介 はは、さあ、こういう船旅が二十日あまりつづくわけだ。ごらん春、かもめがあんなに追って来る――
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(娘の腕を取ってデッキを歩き出す)
「
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