をまわって、たき口から中にもぐり込む)わあ、暗いな。
金吾 どうしやす?
香川 もうちっと、そっちへ寄れない? やあ、ここにいれば見つかりっこない。あとでびっくりさせてやるんだ。黙って黙って金吾君。(二人はクスリと笑ってシーンと静まる)
春子 (かなり離れた上の方に立停って)このへんじゃなかったかしら、敦子さん?
敦子 (これも同様)そうね。ああ、あすこよ、春子さん、ほら!
春子 ああ、もうすっかり出来あがってるわ!(ペシペシと枯れ枝を踏んで走りおりて来る)
敦子 (これも、それに従いながら)そんなに急いでは転ぶわ春子さん!
春子 まあ、可愛いカマだこと。これで炭が焼けるのね。
敦子 へえ、これがそう? 賢一さんと金吾さん、どこかしら?
春子 香川さあーん! 金吾さあーん! どこい行ったのかしら?
敦子 ああ下の川へ石を取りに行ったんじゃないかしら? 内側を石でたたむんだって言ったから。きっと、そうよ。
春子 じゃ、いっときここで待っていましょうか。やれ、うんとしょ。(草の上に座る)敦さんも、ここにお坐んなさい。
敦子 ……いやだ。
春子 あら、なあぜ?
敦子 いやだからいや!
春子 
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