ゥお大事に」と金太郎君は小道の角で立ちどまりました。ジョンの姿が見えないので、どうしたのかと思っていると、その時、今立去って来た黒田の別荘跡の方角から、ジョンが鳴くような声がして来ました。
「はは、ジョンの奴は、どうしたんでやすか、オヤジが死んでから、時々あの墓場のわきへ行っちゃ遠吠えをやらかす癖が附いちゃって――あれがそうでやす」金太郎君はそう言って寂しく笑いました。

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その犬の乾いた、引きのばした遠吠の声。
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……私はしばらくそれを聞いていました。

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(列車の響近づき、汽笛の音がジョンの声をかき消すようにボーウ、ボーウと高原一帯に遠くこだまして鳴りひびく、大の遠吠。更に汽笛。)……やがて、私は、金太郎君に別れを告げて、既に薄暗くなった秋草の小道を駅の方へ急ぎました。

音楽
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底本:「三好十郎の仕事 別巻」學藝書林
   1968(昭和43)年11月28日第1刷発行
底本の親本:「樹氷」ラジオ・ドラマ新書(上・下)、宝文館
   1955(昭和30)年10月1日第1刷発行
初出:
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