ナ、根は刈りとっちまったが、まだ幹には養分があってな、それをさかさにしてこうやってかけておくと、まだこれからだって稲の粒は大きくなるだ。
金太 あのな、お父ちゃん……開拓農場の方じゃ、トラクターをまた一台入れたよ。この間なんぞ、駅前の雑木林をひっくりかえしてたらトラクターがデングリ返ってな、そこら中はねくり廻ってあばれたよ、あははは。
金吾 あははは、まあまあ怪我人がでねえようにするこった。
金太 春子おばさんが、あのトラクターの音ば、えらく恐がってね。この間も、遠くの方であれがしはじめたら、俺と二人で蝶々つかまえてたのが、いきなり駈け出して逃げたっけ。
金吾 そうか。病気のせいで頭あ馬鹿になっちゃってるんだから……
金太 うん、まるで、へえ、ちっちゃい子みてえだ。今、なにしてるかなあ。
金吾 ははは、きんにょ[#「きんにょ」に傍点]から、東京から敦子さまがみえて下すってるし、そこへ今朝っから海尻からお仙ちゃんが遊びにきてくれるし、ご機嫌だらず。俺だちも、ここ終えたら今日は早く引上げて別荘の方へ行くべ。
金太 敦子さんのおばさんもいい人だなあ。きんにょ、別荘についたらな、罐詰だとか、そ
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