ナ、喜助はいきり[#「いきり」は底本では「いきなり」]立ってね、今日は落窪の実行組合の顔役衆のところへ談じこむんだと言って出かけやしてね。
壮六 そうかよ。実は俺もやっぱしその用事でな、今日はそこの轟さんの所へ寄って、今迄お願いしてみたども、あの衆もいろいろわけがあって、これ以上調停役に乗り出す気はねえちってな。そいでまあ、俺あこれから海尻の郵便局の林さんとこへ寄って話をして、それから落窪の実行組合の人たちに逢えれば逢って話をした上で、今夜金吾の所さ行って、泊りこんでようく話をつけべえとこう思ってな。
お豊 そうかね。おめえさんが行ってくれりゃ安心だ。
お仙 (上り端に茶を出して)壮六のおじさん、お茶でやんす。
壮六 あい、ありがとうよ。(茶碗をとって、立ったまますする)
お豊 家の喜助がまた酒でも飲んだとなると、どんな乱暴なことしでかすかわからねえ人だから――
壮六 なあに、あんで性根をとっぱずすような頭梁じゃねえ。そんじゃ俺ら急ぐからな――(と飲みおえた茶碗を上り端において)お仙ちゃんよ、今にこのおじさんが、いいおむこさん探してやっからな、磨きあげて待ってろよ、ははは。
お仙 壮六
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