ウん え? ふーん、もうこんなに暗くなってきたのに、どうしたんだかなあ? ああ、ここの飯場の工夫が、今日はたしか山祭りで、酒盛りをやるんだって言ってたから、酔いつぶれて寝てるだよ。
娘 のんきな人だなあ。
おばさん ははは、さあ早く行くべ。(二人は立去って行く)
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そこへ、カタカタカタと下駄の音がして、人が近づく。
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鶴 (離れた所から寝ている金吾を認めて、立止って薄暗がりをすかして見ている)
金吾 うーむ。うーむ。
鶴 あのう――どうかなすったんですか? もし!
金吾 うーむ。(唸る)
鶴 どうかなすって――(近寄ってきて)もしもし、あなた――
金吾 うーむ。春子さま! 春子さま! 俺あ――
鶴 え? ……あの、あなたは――(こごみこんで、金吾の肩に手をかけて)ああ! あなたは柳沢の、金吾さんじゃないんですか? どうなすったんです、金吾さん。こんなところで、あなたどうなすったんですか?(金吾の上半身を助けおこす)わかりますか? あたし、鶴やですよ、わかりますか。あたし、黒田様のところにずっとせんお世話になっていて、信州にも二三度行きま
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