Bなあおい、このお春っていう人には、親戚なんか誰もいやあしねえ事を俺あチャンと知っているんだぜ。もとの亭主の、その黒田とかなんとかいう男から頼まれて君あ来たんだろう。そうだろう?
金吾 いえ、ちがいやす!
嘉六 とにかく踊れ、踊れ。え?
助三 だって、もういいじゃねえか、お春さんこんなに酔っぱらっているんだから――
古賀 おい助三、お前、へんにこいつに同情するようなことばっかり言うな、どういうわけだい?
助三 だって、あんまり、むげえじゃねえか。
須川 おい、婆さんよ――木曽のナ――(春子の体を横だきにして、土間に足音をひびかせて踊りはじめる。踊りと言っても、ヨタヨタと板椅子にぶっつかったりしながら)
春子 かんべんして下さいよ。あの、かんべんして――(須川の手をふりもぎった拍子にヨロヨロッとして、源次の方へヨロケてくる)
源次 クソッ、このアマ! 気どるない!(つきとばす)
春子 あっあれ!(ドタドタドタと土間をよろけて行き、ヒィッと言って、ドシンとあお向けにひっくりかえる)
金吾 ……(さっきから、我慢に我慢をしていたのが遂に激発する)春子さまに対しておめえ何をするだ!(源次にとび
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