ホなすったそうですけどね、金吾さんはしかたなくその金を敏行さまに渡してしまいなすったそうでございます。それで、まあ、敏子さまが金吾さんにお母さまは、もしかすると横浜の敦子おばさまの方か、秩父の方かもしれないとおっしゃったそうで――。ですから実は私、こちらへうかがいませば金吾さんとも会えるかもわからないと思いながら参ったのでございます。
敦子 そう! そうだったの。すると金吾さん、秩父の方へ先きに行ったかもしれないわね。いえ、敏ちゃんの事は私の方で引うけました。どうせ主人がもう四五日もすれば戻って来ますしね。いえ、案外にそういう所の名の知れた芸者屋さんなどでは、そういう事でいい加減な事はしないものです。大丈夫、私にまかしといてちょうだい。ただ、金吾さんはそうやって、勝手もよく知らない東京をウロウロして、ひどい目に逢って可哀想にねえ……なぜ、真っすぐここへやって来てくれないのかしら?
鶴 やっぱり、なんじゃございませんでしょうか、敦子奥様にはこれまであんまり御面倒をおかけしているので、そうそうは来にくいのではないでしょうか? 春子奥様にしても同じことだと存じますけど……
敦子 春さんはあれ
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