閧ワして、そいでこれこれだと申しましても、誰も相手になってくれないんでして、しまいに何かおめかけさんといったふうの年増の人が出て来まして、もう出してしまった飯たき女中のことなぞわかりませんよと、そう言ってどなりつけるんですよ。しかたがありませんので、今言った市川の内へ参りました。すると、敏子さまは暫く前に横浜のお父さんが連れてお帰りになって、新橋の芸者屋さんに預けられているというじゃございませんか。それで私、新橋のそのおぐらという家へ行ったんでございます。可哀想に敏子さまはもうすっかり芸者の下地ッ子におなりで、久しぶりに私をみて、いきなりオイオイお泣きになりましてね。(鼻をつまらして)それで、いろいろお話をうかがったんですけど、ちょうど私の行きました前の日に、信州の柳沢の金吾さんがたずねていらしたそうで。
敦子 え、金吾さんが?
鶴 はい。それで金吾さんもあちこち春子さまを探しなすっても、やっぱり会えないそうで。そいで三千円とかのお金を敏子さんに渡して下さったそうですけどね、そこへちょうど敏行さまがお見えになって、その金をそっくり自分に貸してくれとおっしゃったそうで。敏子さまは泣いて反
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