轣jいやあ、わしもぶったまげやした。あのちっちゃな敏子さまが、こんなイカクなっていようとは夢にも思っていなかっただから!(二人の会話は、まるで久しぶりに逢った仲良しの子供が話しているようにあどけない)
敏子 ほほ! 私そんなに大きくなった?
金吾 大きくなりやした! はは!
敏子 金吾小父さんも、とても――(と金吾の横顔をマジマジと見て)あの、髪の毛が白くなっちゃったわ!
金吾 はは、そりゃもう、しょうがねえでさ。
敏子 ほら!(と金吾の頬に手でさわる)こんな、おヒゲまで白くなって――(不意に涙声になる)まっ白だわあ!(オイオイ泣く)
金吾 (あわてて)これこれ人が見るだから、そんな敏子さま!
敏子 (涙声のままで快活に笑い出す)小父さん、今でも盆踊りの歌、うたってる?
金吾 木仏金仏でやすか? 歌いやすよ。敏子さま、あれが好きだったなあ。
敏子 そいから山奥の小びとのお囃し、聞こえてくる?
金吾 はは、聞こえてきやす。
敏子 行きたいな信州へ! あたしね、今、小倉にこうやってあずけられていてね、おかみさんはとても良い人だし、芸ごとを習うのもイヤじゃないんだけど、とにかく芸者になるんで
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