Aそれから壮六よ、どうも俺あいつも口不調法で、礼一つ言わねえが、こんたびはありがとうがす。こんとおりだ。(ガサガサといわせて莚に頭をつける)
お豊 そんな、金吾さんよ、そんな――(言ってる間に、女心でせぐり上げてくる。涙声で)そんな他人行儀な。
喜助 あっはは、あんなこと言ってやがら。
壮六 いや、まったくだあ。喜助頭梁、このお豊なんていうおかかは、こりゃいい女だぞ。へへ、おめえには過ぎもんだぞ、こん畜生め!
喜助 あっはは、羨ましけりゃ呉れてやらあ、何がこの――
金太 ウマウマ、ウマウマ――
金吾 (涙声で)金太郎、ウマウマか。よし、このオトト食え。
壮六 ホントに呉れるか、頭梁。ホントに呉れるかよ、このおかみさん?
喜助 呉れてやらあ。そもそもこのお豊なんつう奴は、俺におっ惚れてな、どうしてもかかあにしてくれつうてきかねえから、俺が女房にしてやった女ごだ、なあお豊、だらず?
お豊 そうだよ、そうだよ、ははは。馬鹿だねえ。
喜助 そうれみろ。よし、そんじゃ俺が一つお祝いに踊りをおどってみせべえ。よっく見ろ、盆踊りなんずの古くさい踊りじゃねえや。この間、松本の寄り合いで習ってきたばっか
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