セら早かった、はは。さ、小屋へ帰ろう。こんな所に突っ立っていてもつまらん。
金吾 フランスからお帰りになった御挨拶もまだ申し上げてなくて――お帰りなさいやし。
敏行 やあやあ。なにね。どうも忙しくって、はは、さあさ行こう。
春子 ねえあなた、ごらんなさいまし。これがそのカラマツの苗畑ですの、金吾さんが守って下さった――
敏行 え、なんだ?
春子 そら、お父さまが、よく言いなすってたじゃありませんの? 金吾さんが三四年もの間チャント世話を焼いて下さって、立派にこうして苗木が育っているの。ありがたくって私――
敏行 そうか。そりゃ大変だったろう。そいで、こいだけの苗木、いつになったら売り出せるの? 全体でどれ位の値になるんだい?
金吾 そうでやすねえ、まだこいで後二年位は見てやらねえと――そうでやす、わしはまだ値段のことなぞよく知らねえんで。
敏行 ええと、これ全体で何段歩位あるかな? 苗木を売つて、どれ位の利廻りになるんかな、地代に対してさ?
春子 だって、この畑はそんな意味でお父さんお買いになったんじゃないわ。カラマツを育てて見ようと言う、つまり研究のために――
敏行 わかっている。し
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