ゃんが丈夫になって
僕たちは互に好きになって
僕は君にお嫁になってくれと申しこむことがあるかもしれない
その時はその時で、今は今だ
これは別々のことなんだ、いっしょくたにはしまいね!」
「ほんとうよ、昇さん
よく言って下すったわ、私もそれを言おうと思っていたの
昇さんの言う通りだわ
私たちはワナに落ちてはならないわ!」
それからも毎日毎朝
昇さんは私のところに来てくれます
内の父は木魚を叩き
昇さんのお父さんはコエダメをかきまわし
花婆やはとんきょう声でブツクサと喋りちらし
昇さんのお母さんはいろいろなことで心配ばかりしながら
昇さんは花作りのかたわら学校に通い
そして私のカリエスはすこしずつ、すこしずつ良くなってると先生がおっしゃって
そしてラジオで教わるフランス語は
短い文章の訳読に入りました
父と昇さんのお父さんの喧嘩は
相変らず続きながら
やがて春が近づきます
そらそら、今も木魚の音がしはじめたから
やがてコエの匂いが流れて来るでしょう
私には笑えてくるのですよ
ビヤン! フランス語では、それも結構と言うのを、そう言うのよ
昇さん、これで私の長い長い詩はおしまいよ
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