づけていました
しまいに頭が痛くなりました
すると三四日してから昇さんがヒョックリ現われるとイキナリ
「光ちゃん、やっぱり両方ともホントなんだ」
と言うのと同時に私が
「昇さん、私はこうしたらいいと思う」と言うと
両方がぶつかり合って
二人で笑ってしまいました!
「え? 喧嘩をしないでやって行ける法があるの?」
「いいえ、やって行ける法とは言えないかも知れないの
しかしね、私はこう思ったの
両方のどちらか
自分の方が相手よりも強くて賢いと思ったら
そう思った方が相手に負けてあげるのよ
自分よりも弱い者や[#「者や」は底本では「音や」]愚かな者と喧嘩して
勝っても自慢にはならないでしょう?
だから負けてあげるのよ」
「すると相手からぶたれてもなぐられてもかね
相手からののしられても踏みつけにされてもかね?
なるほどそうすれば喧嘩は成り立たないから、平和になるだろうが
しかし、どちらかがそうできるかね
君んちのお父さんにしても内の父にしてもさ
ソビエットにしてもアメリカにしても、でもいいや
できるかね、それが?
それができれば世話はない
それができないから、今のようになっているんだ」
「す
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