」
「そうさ、僕にもわかりはしないよ
しかしそうなんだから仕方がないさ」
「オトナは、すると、みんな気が変なのじゃないかしら?」
「そうさ、そうかもしれんなあ
しかし、やっぱり父も小父さんも気ちがいじゃないしなあ」
そう言って昇さんは苦しい苦しい表情になって
「もしかすると、アメリカとソビエットが
事ごとにいがみ合ったり原爆競争をしているのも
デカイことと小さいことの違いこそあっても
これと同じようなことかも知れんなあ」と言いました。
「そうなの、そうなの!
実は先日から私もそれを考えていたのよ!
もともと両方とも良い人たちなのよ
そして何が善いことで何が悪いか
ちゃんと知っているのよ
それがお互いに相手のすることにいきり立って
カッとなってやり合うのよ!」
「しかし、それにしたって、やっぱり、わけはわからないのよ
話し合ってすべてのことをうまく片づけて
仲よくできないことはないのに
それをしないで張り合っている
やっぱりオトナは気が変だよ!」
そうして私と昇さんは互いに顔を見合ったまま
永いこと永いこと考えこんでいたのです
10[#「10」は縦中横]
それから私は考えつ
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