死にものぐるいで火を消していたんだよ!
内の父も母もそれを見ると
急にお礼の言葉も出て来ない
目を白黒させてモグモグ、モグモグ
そうすると君んちの小父さんもバツが悪くなったのか
モジモジと真っ赤な顔をして
目ばかりグリグリさせているんだ!
そのコッケイなありさまと言ったら!
内の父と君んちの小父さんが仲の悪いのを知っている
オコシヤの小父さんも
火事の煙でまっくろにすすけた変な顔をして
ジロジロと両方を見くらべているんだ
ねえ光ちゃん、人生は輝きだよ!
これが人間のホントの姿さ
どんなにふだん喧嘩をしているようでも
ホントのイザとなると助け合うのだ
君んとこの小父さんは、やっぱり偉い坊さんだよ
僕んちの父だって今までのことを恥じたに違いない
これからは、きっと、君んとこの一大事には
理屈ぬきで駆けつけるだろう
みんなみんな良い人間なんだよ
これをキッカケにして君んとこの小父さんと
僕の父とはスッカリ仲良くなるにきまってる!
太鼓判をおすよ僕が!
よかったね光ちゃんよ!
手を出せよ、握手をしよう
ね、人生に栄光あれだよ!」
そう言って昇さんは私の手をにぎって振ってくれるのです
うれしく
前へ
次へ
全34ページ中26ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング