、そうハッキリした事じゃ無いんですけどね、とにかく長過ぎるんですよ。……近頃、三好さんの書く物、益々、なんだか、三好さん自身の人柄が生のままで出て来ちまうんじゃないですかね?
轟 ……でも元来が、人は良い人ですから。偏狭は偏狭ですけど。
浦上 この、ネチネチとからんで来る式の……あれが困るんだなあ。そりゃ、そうだ、人は良い人ですよ。
轟 イデオロギー的にも、少し古いんじゃないですかね?
浦上 さあ。……でも、なんですねえ、時代がこんな風になって来ると、なんかこう飛躍的に明るい力強い物を世間が要求する事は事実ですから。それに、三好さんなど、現在はそうで無くても、昔が昔だから、やっぱり変な目で見る方面もありましてね。外部から一人の人を見るのにも先入観と言ったようなものが有って、そんなもの馬鹿げていると言えば言えるが、やっぱし、世間を相手にして芝居をして行かなきゃならんとなると、そいつを無視するわけにも行きません。あんたなぞも、最初、妙な色眼鏡で見られないように気を附けないと――。
轟 よくわかります。実は僕もそれには気が附いているんで、なんとかしたいとは思っていますけど、別にツテも無いし、
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