上さん、これは、やっぱし芝居を書いている友人で轟一夫君。一所懸命にやっている人だからどうか今後よろしくひとつ。……(轟に)浦上豪三さん。
轟 どうかよろしく。
浦上 こちらこそ。たしか、この間、「水の上」と言うのをお書きんなった?
三好 ああ読んでくれた?
浦上 私は忙しくて、途中までなんですが、ほかの者が読んで感心していました。
轟 ありがとうございます。こちらでズーッと見て貰ってるんですが、まだ、ロクな物は書けません。
浦上 いやあ、うち[#「うち」に傍点]あたりでも、いつも本が無くって弱っているんですから、どうか、よろしく。なんかお書けになりましたら、是非お見せ下さるように。
轟 よろしくお願いします。
三好 どうも、お茶も無くて弱った。登美の奴、どこをウロウロしている……。
轟 僕が入れましょう。(気軽に立って、奥へ)
浦上 いえ、どうぞおかまい無く。……(何か言い出しかねてモジモジしている)
三好 僕が言うと何だけど、今の轟、僕の知っている新進の中では今後一番書けそうな男ですよ。少し気永に見ていてやって下さい。
浦上 そりゃ、もう……。(煙草に火をつける)
三好 ところで、僕
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