いで立っている人を唯単にそれだけの理由で真に権威あるものと信じてしまったり、十人中の九人が「こうだ」という事を内心「そうでは無い」と思ってもそう言えないばかりで無く、いつの間にか自分が「そうで無い」と思ったのがまちがいだと考えるようになったり、自分および他人が実際において進歩的であるという事がどのようなことであるという事によりも、一般から進歩的であると言われる事の方により多くの関心を持ったり、したがって又一般から「進歩的だ」と言われている者の中の退歩性やまちがいを指摘すると或る種類の人たちが直ぐに「反動だ」と言うからそれをホントの反動かと思ったり、それを逆に言うとホントの反動になってしまうことを恐れるよりも他から反動だと言われることの方をよけいに恐れたり――つづめて言えば、衰弱しきった精神カットウのさなかにあるから、事がらをチョクサイに認め、認めたものを端的に言い切ることができにくくなっている。だから、特に現在、言って見れば、時の動きの力関係の中で丘を背負って立っている宮本百合子の、又同時に彼女のこのように強固に複雑なコンプレックスの中に、多分宮本自身にもそれから或る種類の人々にも気に
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