ても――だけに満足してはおれない問題がふくまれているように私に思われた。それを究明してみることは、他の誰によりも、私自身にとって必要なような気がした。だから、あらためて私は、私の手に入るかぎりの宮本の著作を集めて、その処女作以来の作品や論文を読み返してみた。
 その結果、「やっぱり、この人は、えらい。日本に、よくも、これだけの女が育った」と思った。同時に、「しかし、おれは、この人を好かぬ。この人の中には、どこかヘンテコな所がある。だから、自分だけでなく、人もこの人を、きらうのがホントウだ」と思った。つまり、はじめからの宮本観を、私は非常にハッキリした形で再確認したのである。そして、イヤナ気分になった。自分がハッキリと分裂したからだ。つまり、尊敬せざるを得ないものを、愛することができないと言う状態になっている自分に気がついたからだ。こんな事は私において珍しい現象である。なぜなら、私は、他のいろいろのおもしろく無い性質を持っていることにかけては、人後に落ちない人間であるが、この手の分裂症状だけは、ほとんど持っていない。と言うよりも、この手の分裂症状には耐えきれない性格を持っている、と言った
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