て読みたいとも思わぬ。よっぽど暇な時には、読んでもよいが、読まないでもよい。読んでも読まなくても、私の内容にはほとんど増減が起きない。だから、どちらかと言うと、読まない方がよい。
私の興味と関心は、もっと別な所にある。
3
それは、この人たちの作り出す「量」のことだ。
なにしろ、大変なものである。これほど多量の小説を、相当の永い期間にわたって飽きないで作り出して行く作者がこれほどたくさん生きている現象は、私の知っている限り、どこの国のどんな時代にも無いようである。もちろん日本にも、かつて無かったと思う。インフレのために、多作しなければ人間らしい生活ができないからという理由もあろう。雑誌その他の出版物が多過ぎるために、それらの需要がそうさせるのだとも言えるだろう。また、これらの中の或る人が「どこからどんな注文が来ても、それに応じて、一カ月に七篇や八篇の作品が書けないようでは作家とは言えない」という意味のことを言ったか書いたかしたのを聞いたか読んだかした記憶がある。「節季の忙しい時に、一晩に五十や六十のチョウチンが張れないようじゃ、一人前の職人とは言えねえ」と
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