。毎月三篇や四篇の作品を発表しないことはないだろう。盛んな人になると、一カ月のうちに短篇、中篇、長篇連載などを合せると十篇ちかくを発表している。随筆やエッセイを普通に書いた上にである。なんともかんとも、隆々たるものである。
 ある種の批評家たちは、これらをアルチザン派といったふうに呼んでいるようだ。主として非難や軽蔑の意をふくめて、そう言っているらしい。なぜなら、そう言われると当人たちが、フクレたりスネたりイコジになったりするからである。これなども、実に「日本」だ。たいがいの外国語が、わが国に入って来ると、たちまち、一方的に肯定的か否定的の意味を背負わされる習慣がある。しかし、もとアルチザンなる語は、かくべつ、否定の意のこもった語では無いように私は知っている。むしろ、正常な是認と、おだやかな職業的誇りこそ含んでおれ、今の批評家たちが使用し、かつ、そう言われた人たちがそう受取っているようなドギツイ非難や軽蔑をこめて使うには無理のある語ではあるまいかと思われる。しかしながら、自分たち一人々々を、自ら神の子孫であると思っている或る種の未開のヤバン人が、人から「お前は人間である」と言われて、激
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