しとにかくそう言うものですから、しばらくそれを信じて話を運ぶ以外に手はありません。「だのに、なぜ高い稿料を出してのせるんですか?」と問うと、これまたほとんど異口同音に「経営者や会計部がのせることを要求しますからね。編集者なんて弱いもんで、経営者や会計には頭があがらんですからね」「しかしどうして経営者や会計部がそんな要求をするんでしょう?」「それは、あたりまえでさあ。風俗さんや肉体さんをのせると雑誌が売れるからですよ」「なるほどそうですか。しかし[#「しかし」は底本では「「しかし」]風俗さんや肉体さんをのせると、どれ位よけいに売れるというタシカな事を調べましたか?」「いや、それは調べません。なんとなく、そんなふうな気がするんです」
 こんな編集者が一体全体、編集者と呼ばれる価値があるかないかを言い立てるのは私の任ではありません。次に購読者です。五十人ばかりの中で、特に風俗さんや肉体さんの誰それの小説を愛読しているという人は一人もいませんでした。つまりその誰それの小説がのっているから、その雑誌をわざわざ買うという者は一人もない。どれでもよいのです。ただ、百円サツを一枚にぎって書店へフラリと
前へ 次へ
全274ページ中234ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング