ところがあなたの言うような疎カクなどを解決したって、良いことなど何一つ生まれて来そうにはありません。噛み合わせたまま捨てて置けばよい。そのうちに両方で飽きて一人でに噛み合いをやめるでしょう。
「そんなヤケクソにならないで、あなたの考えを聞かせて下さい」
 よろしい。ヤケクソにはならない方がよいかもしれません。私の考えを述べます。
 批評家のことには、しばらく、ふれません。風俗派や肉体派さんたちの、作家活動の全体または個々の中に、文学や芸術の問題になりうる事がらが、どれだけあるでしょうか? 私は、ほとんどないと見ています。捜しても見つからないものですから、当人たちにも、実際において、文学や芸術を取りあつかっているという意識はないのではないかと思われるフシがあります。それを批評家たちは、文学や芸術を見る見方で眺めるものだから、事がコンガラかるのではないでしょうか。
 それはむしろ主として群集心理だとか集団異常心理といったふうの社会心理学の研究材料、または商品のメイカアとセイルスマンとマーケットの相互関係、つまり商品学の題目を提供しているのではないでしょうか。もちろん、これも重大な真剣な題目
前へ 次へ
全274ページ中228ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング