ン持ってきなさい。一言づつで片づけてお目にかけます。
A 荒れますねえ!
B エッヘヘ。いや、ふざけますまい。厳しゅくにやりましょう[#「やりましょう」は底本では「やりましよう」]。私のこのような考えは私の人間観から来ているのです。人間は永い間には、たしかに変りますが、それほどひどく変るものではないと私は思っているのです。人間が短時日のうちに非常に変ってしまうという事はめったに無い事で、往々にして非常に、また急に変ったと見るのは、表面だけかまたは一面だけかまたは自身が変ったと思っているだけの場合が多い。これが先ず私の人間観の第一。次ぎに、その人間の正体はその時その時の横のひろがりに示されますが、同時にタテの流れに示されます。むしろ、タテの流れの中に真の正体がよけいに示される。半年や一年を取って人の正体を判断しようとすると、まちがいやすいが、五年十年二十年のその人の歩いた道を取って判断すれば、たいがい、まちがわないのです。人は半年や一年は自分をも人をもゴマかすことが出来るが、五年十年とゴマかすことは出来ないのです。だから私は人を見るのに、今彼がなんであるかを調べるのと同時に、いや今彼がな
前へ 次へ
全274ページ中153ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング